政府は2025年には男性育児休業取得率30%を目指し、男女ともに育児に参加する取り組みが行われようとしています。
その対策として、2020年5月に閣議決定された少子化社会対策大網で出された男性の育児休暇対策について政府内各方面での議論が進み、男性の育児休業の義務化について注目を集めています。
今回は、政府内で議論されている男性の育児休業の義務化と、より男性の育休取得が進むための政策をご紹介いたします。
男性の育児休業義務化について議論が上がった理由
少子化対策として、以前より男性の育児参加について対策が取られ幾度となく、育児休業に関する法改正が行われて参りました。
なぜ男性の育児休業義務化について議論が上がったかと言いますと、
2020年5月に閣議決定されました少子化社会対策大網で2025年に男性の育児休業取得率30%を目指そうという事から、
各地で育休法改正に向け、構成がまとめられています。
そうした中で、男性の育児休業の義務化について、
日本商工会議所が行った調査で、中小企業の7割が反対だったという結果から大きな注目を集める事となりました。
では、なぜ7割もの企業が反対だったのか、その理由について見ていきましょう。
何が義務化なのかが不透明だった
きっかけは2020年9月に行われた、
厚生省の労働政策審議会で日本商工会議所が行った男性の育休義務化に対するアンケート調査結果でした。
調査の結果
- 「反対」
- 「どちらかというと反対」
という意見を合わせて約7割という結果がだされ、
注目を集めることになります。
ただこの調査について日本商工会議所は、義務化の具体的な内容についてはあいまいだったと述べており、7割が義務化に反対という結果だけが一人歩きしてしまっている状態だったのです。
義務化するのは「企業」に対して
2020年12月現時点での育児休暇について、
従業員や配偶者が妊娠、出産をした場合に育児休暇制度について通知することに対し、「努力義務」となっています。
上記の内容を今後の改正で「義務化」しようとしているのが、今回の議論の内容です。
周知義務の範囲についても審議中
従業員に対し、育児休暇の内容について伝えることに関しては、
前向きに検討されていますが、一部有価証券への公表などの案も出ているようです。
中小企業はコロナ禍で深刻な人手不足や経営状況を心配する状況であり、十分な審議が求められます。
なぜ日本での男性の育児休業取得率が低い?
日本はアメリカや欧州などと比較すると、男性の育児時間はとても短いです。
ではなぜ男性の育児休業取得率が少ないのか、理由を見てきましょう。
給付金だけでは生活が不安
育児休業期間中は給与が無くなり、代わりに雇用保険料から育児休業給付金が支払われます。
男性でも育児休暇期間中は給付金を受け取ることは出来ます。
しかし、給付金の額が給与と比較して、低いことによる生活の不安が挙げられます。
育児休業給付金の支給は原則一人1年で、給付率は
最初の6カ月は67%
↓
後半6カ月は50%
となります。
男性でも育児休業中に給付金が支給される事を認知されつつありますが、現在の給与の半分程度となってしまう事に不安を感じてしまうと考えらえます。
現在の給料の半分になるなら育児休暇を取得するのは
家族とよく話しなくちゃいけないな。
今後の出世に響くのではないか
金銭的な不安とは別に、休業期間中ビジネス社会から離れた環境になります。
同僚との仕事の遅れや復帰後に流れに付いていかれるのかなど、社会からの断絶や会社での評価などが気になり、育児休暇取得に積極的になれないパターンです。
制度はあるが社風的に取得しにくい
もう一つは、本人に取得したい気持ちはあるが、
- 体制が整ってない
- 前例がない
- 人手不足
- 上司の圧力
などで取りにくいなど、会社環境が原因で取得しにくいケースもあります。
中小企業では人手不足が慢性であったり、
ベンチャー企業などでは制度が合っても社内での育児休暇取得に対する体制が整っていない場合もあるでしょう。
また、社風体制が古く、前例が無いなどの理由で上司からの圧力もあり、取りにくいという理由も考えられます。
比較的大企業では、制度が整いつつある男性の育児休業ですが、本人が取りたいという意志があっても会社や上司によっては取りにくいとことも、取得率が低い原因と言えるでしょう。
男性の育休促進のため進められている対策
男性従業員へ、
育児休暇制度の周知義務については2020年12月現在審議中ですが、すでに男性の育児休暇促進のために進められている対策について、ご紹介して参ります。
企業に対しての助成金
厚生労働省では、男性従業員が育児休業を取りやすい環境づくりに取り組み、実際に育児休業を取得した男性従業員が発生した場合に支給されます。
2020年度では、
- 個別面談を行う
- 資料配布をする
など取得のサポートを実施した場合には、支援可算があります。
パパ休暇で育休2回取得可能
ママの産後休暇中にパパが育児休業を取った場合、パパは再度育児休業を取得する事が出来ます。
ただし、パパが育児休暇を2回取るには、ママの産後休暇中に1回目の育児休暇を取り、産休終了前に一旦育児休暇が終了している必要があります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は男性の育児休業義務化についてと、取得促進における取組についてご紹介して参りました。
制度について従業員へ周知することが努力義務から義務化となるのかが現在審議中であり、業種や企業規模によっては一律義務化について不安の声があることが分かっています。
2025年男性育児休業取得30%を目指すには、
企業や政府が一丸となって男性の育児休暇促進に向けて取り組まなければならない問題と言えるのではないでしょうか。